社員の集中力低下やメンタル不調が社会課題となる中、多くの企業が注目しているのが「ウェルネスエリア」の設置です。
オフィスの中に設けられるリラックス空間や軽運動スペース、仮眠室などは、単なる休憩場所にとどまらず、従業員の創造性やパフォーマンスを引き出す空間として効果を発揮します。
しかし「どう設計すればよいか分からない」「本当に効果があるのか不安」といった声も少なくありません。
本記事では、ウェルネスエリアをオフィス内に導入する際に押さえておきたい設計の5大ポイントを、事例を交えて詳しく解説します。

ウェルネスエリアが求められる背景とその役割とは?

近年、働き方改革や健康経営の推進により、企業が「人が働く環境」への意識を高める中、ウェルネスエリアは単なる休憩スペースから生産性向上の要素として注目されています。
設計の方向性を明確にするためにも、その役割と導入の背景を理解することが重要です。

健康経営とオフィス環境改善の接点

健康経営の実践には、制度だけでなく実際に社員が健康を意識できる物理的な環境づくりが不可欠です。
オフィス内のウェルネスエリアは、こうした取り組みの「見える化」として機能し、企業理念や方針の具現化を後押しします。社員が無理なく使える動線上に設けることもポイントです。

ストレス軽減とリラックス空間の必要性

現代のオフィスワーカーは、常に情報やコミュニケーションに晒されており、ストレスや脳疲労が蓄積しやすい状況にあります。
そこで、集中から解放される空間、つまり物理的にも心理的にも緩めるスペースが重要になります。5分〜10分のリセットが業務効率を大きく高めるという調査結果もあります。

多様な働き方への柔軟な対応

リモート・出社・フリーアドレスなど働き方が多様化する中で、「一人で集中」「ゆっくり休む」「同僚と軽く話す」など、社員の状態やニーズに応じて選べる空間が求められます。
ウェルネスエリアは、その柔軟性を確保する重要な要素として、企業の環境整備に貢献します。

ウェルネスエリア設計の基本5原則とは?

ウェルネスエリアの設計は、見た目の美しさだけでなく、使いやすさ、心理的安心感、機能性を兼ね備える必要があります。
以下では、誰もが使いたくなる空間にするために押さえるべき設計の基本ポイントを紹介します。

ゾーニング設計で用途を明確に分ける

仮眠、軽運動、飲食、リフレッシュなどの目的別にエリアを明確にゾーニングすることで、利用者の迷いをなくし、空間の使いやすさが格段に高まります。
また、静的エリアと動的エリアを適切に分けることで音や動線の干渉を防ぎ、全体の快適性が向上します。

自然光やグリーンを活用した環境演出

ウェルネスエリアは「非オフィス的」な雰囲気を演出することで、心理的な開放感をもたらします。
窓からの自然光や観葉植物などのグリーンを取り入れることで、利用者の視覚的な疲労軽減やリラックス効果を高めることができます。照明も温かみのある色味が適しています。

視線・音・香りまで配慮した空間設計

落ち着いて休むには「他人の視線」「騒音」「不快な匂いなどへの配慮が不可欠です。
間仕切りや吸音素材の配置により静寂性を確保し、空間のプライバシー性を高めましょう。
また、香りによる心理効果(アロマなど)を活用することで、より質の高い休憩が可能となります。

オフィス規模別に見る設計の工夫と最適化

企業によってオフィスの規模やスペースの余裕は異なるため、ウェルネスエリアの設計も「面積ありき」ではなくスペースに応じた柔軟な工夫が求められます
ここでは、スモール〜ラージオフィスそれぞれに適した設計戦略を紹介します。

10坪以下のオフィスで実現するミニマム設計

スペースに限りがある場合は、多機能ベンチや折りたたみ式の家具を活用した「コンパクトだけど本格的」な設計が効果的です。
小さなコーナーにアロマとクッションチェアを設けるだけでも十分にウェルネス機能を果たします。
重要なのは“常に使えること”です。

中規模オフィスでの目的別スペース分割

中規模オフィスでは、静かな仮眠エリア、軽運動コーナー、フリードリンク付きの雑談ラウンジなど、用途に応じたエリア分けが可能です。
各空間のデザインコンセプトを統一しつつ、動線や音の分離を意識することで、快適性と使いやすさの両立が図れます。

大規模オフィスにおける体験型空間の演出

広いスペースがある場合は、ヨガやストレッチ用のマットゾーン、瞑想ルームなど“滞在型の体験空間”を導入することで、企業としてのブランディングや社内文化の形成にもつながります。
利用者の満足度向上と社内のエンゲージメント強化が見込めます。

ウェルネスエリア導入時の注意点と落とし穴

ウェルネスエリアの導入は見た目やアイデアだけで進めてしまうと実際に使われない空間になってしまうことがあります。
費用をかけて設けたのに形骸化しないよう、事前に押さえておきたい注意点を確認しましょう。

利用ルールが曖昧で使われなくなるケース

ウェルネスエリアの目的や使用ルールが社内に浸透していないと、社員が「使っていいのか不安」「休憩中に見られるのが気になる」と感じてしまい、利用が進みません。
設置後はポスターや社内SNSなどを活用して積極的に利用を促すコミュニケーションが欠かせません。

清掃・メンテナンス体制が不十分で印象ダウン

リラックス空間であるはずのウェルネスエリアも、清掃や備品の補充が滞れば逆に不衛生で使いづらい場所になってしまいます。
とくに飲食や仮眠エリアを設けた場合は、使用後の管理ルールを明確化し、清掃スケジュールを組み込むことが快適維持の秘訣です。

企業文化と合わず「使いづらい場所」に

たとえ設計が素晴らしくても、企業文化がハードワーク型・席を立ちにくい雰囲気の場合誰も使わなくなるリスクがあります。
経営層やマネジメントが率先して活用を促すことで、社内の心理的ハードルを下げる必要があります。ウェルネスは「使ってこそ意味がある」場所です。

ウェルネスエリアの設置事例と効果の紹介

実際にウェルネスエリアを設けた企業の事例を見ると、その効果と工夫が具体的に見えてきます。
成功事例を参考に、自社での導入設計に活かせるポイントを探ってみましょう。

都内IT企業:瞑想ラウンジで集中力が回復

東京都内の中規模IT企業では、集中力維持のために10分間の瞑想ラウンジを設置しました。
自然音と間接照明、クッションチェアのみのシンプルな空間ですが、利用後の満足度は高く「午後の眠気が激減した」との声が多く、業務パフォーマンス向上に貢献しています。

クリエイティブ会社:アート×グリーンの融合空間

デザイン事務所では、観葉植物と社員の描いたアートを展示した休憩スペースを導入しました。
クリエイティブなインスピレーションが得られる環境として定着し、プロジェクトごとのアイデア出し会議などにも使われています。社員の自己表現の場としても機能しています。

製薬会社:仮眠室+リカバリーベッドの導入

製薬企業では仮眠室にリカバリーベッドを導入しました。
15分〜20分の短時間睡眠で脳疲労を軽減する効果があり、業務効率とミスの低減に役立っています。
利用者数は導入後1ヶ月で全社員の60%に達し、部門を問わず使われる空間に成長しています。

まとめ

ウェルネスエリアは「設置すること」が目的ではなく、「社員にとって本当に使いたいと思える場所」にすることが成功のポイントです。
ゾーニング・光・音・素材など細部にまで気を配ることで、リラックスしながら集中力や生産性を高める空間が実現します。
また、使い方の啓発や清掃体制の整備といった運用面にも配慮することで、導入後の“形骸化リスク”を防げます。
RECTECA DESIGNでは、企業文化や業種に合わせたオーダーメイドのウェルネスエリア設計をご提案しております。
お気軽にご相談ください。

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