
注文家具(造作家具)は既製品より価格が高くなる傾向があり、同じような仕様でも依頼先によって金額が大きく変わります。アイテムの種類、使う素材、依頼先(大工工事・家具工事・ハウスメーカー)によって費用の目安は数万円〜数百万円まで幅があるため、発注前に相場観を持っておくことが失敗しない一番の近道です。この記事では内装設計会社の視点から費用の内訳を整理し、発注前の準備度がわかる発注前チェックリストも用意しました。
📌 この記事でわかること
目次
注文家具(造作家具)とは、設置場所の寸法や用途に合わせて一点ずつ製作する家具のことで、規格サイズで作られる既製品とは価格の決まり方が根本的に異なります。既製品にはメーカーが設定した定価がありますが、注文家具には定価が存在せず、同じような仕様でも依頼する業者によって金額が大きく変わります。
既製品では実現しにくい「柱や梁の出っ張りに合わせた収納」「天井までの高さいっぱいの本棚」「部屋の形に合わせたL字カウンター」などが作れる一方、製作に手間がかかる分、既製品より高額になりやすい点は理解したうえで検討する必要があります。
注文家具の費用は、アイテムの種類とサイズによって5万円台から300万円近くまで幅があります。代表的なアイテムの目安は次のとおりです。
カップボード(幅1800mm程度):25万〜55万円。テレビボード(幅2400mm程度):20万〜45万円。天井までの壁面収納・本棚:35万〜90万円。造作洗面台:15万〜40万円。カウンターデスク(幅1200mm程度):5万〜15万円が目安です。
実例ベースでは、スライド式本棚が30万円程度、ダイニングテーブルとベンチのセットが40万円程度、セミオーダーの収納システムが60万円程度、PCデスクとテレビ台のセットが85万円程度、ロフトベッドと子ども部屋収納一式では296万円程度になったケースも報告されています。可動棚や引き出しの数、塗装仕上げのグレードによって、同じサイズでも総額は大きく変わります。
素材は注文家具の価格を左右する大きな要素で、無垢材や石天板を選ぶと目安として+15万円程度のコストアップになります。無垢材は質感や経年変化の魅力がある一方、反りや割れへの対策が必要でコストも上がりやすい素材です。
突板(薄い天然木を合板に貼ったもの)は、無垢材に近い見た目を保ちながらコストを抑えやすい選択肢です。集成材は木材を接着して作るため寸法安定性が高く、価格と品質のバランスを取りやすい素材として選ばれています。「見せたい面」だけ無垢材や突板にして、内側や背面は集成材にするなど、部位ごとに素材を使い分けることで、見た目の満足度を保ちながら総額を抑えられます。
注文家具は、現場で作る「大工工事」と、工房・工場で作る「家具工事」のどちらに依頼するかで、費用と仕上がりの精度が変わります。大工工事はシンプルな棚やカウンターに向いており、比較的リーズナブルに仕上げられます。
家具工事は複雑な引き出し機構や塗装仕上げに対応でき、精度も高い一方でコストは上がりやすくなります。大手ハウスメーカーに依頼すると、管理費が上乗せされ、同じ仕様でも最も高額になりやすい傾向があります。内装工事を依頼する会社に注文家具もまとめて発注すると、現場の採寸や搬入のすり合わせがスムーズになり、結果的に総額を抑えられるケースも少なくありません。内装設計会社の選び方は店舗設計会社の選び方でも解説していますので、あわせてご覧ください。
店舗やオフィスの場合、注文家具は「什器」として、レジカウンターや受付カウンター、陳列棚などの造作費用が中心になります。新規でカウンターを造作する場合の費用相場は、1メートルあたり10万〜20万円程度が目安です。素材やデザイン、形状によって変動しますが、既存のカウンターを活かして塗装・リメイクする場合は1平方メートルあたり2万〜3万円程度に抑えられることもあります。
店舗什器は、客席や商品を目立たせる「見せる」役割と、日々の作業効率を左右する「使う」役割の両方を持つため、内装デザイン全体の費用感の中でどこに予算を配分するかを合わせて検討するのがおすすめです。内装デザイン全体の費用相場は内装デザインの費用相場と業者比較ガイドで解説しています。
注文家具は、ヒアリング・採寸から納品まで、一般的に2週間〜1か月半程度かかります。シンプルな棚やカウンターであれば数日〜2週間程度、引き出しや塗装仕上げにこだわる家具では1か月以上かかることもあります。
流れの目安は、用途や置きたい物の寸法を伝えるヒアリング、現地採寸、デザイン・素材の打ち合わせ、見積もり提示、製作、設置・納品という順番です。内装工事とあわせて発注する場合は、内装の工程表に合わせて製作・搬入のタイミングを調整してもらえるかどうかも、依頼先を選ぶ際の確認ポイントになります。
発注前にどこまで検討できているかをチェックリストで点数化すると、見積もり依頼の前に詰めが甘い項目を見つけやすくなります。「現状」「見直し後」のようにラベルを分けて入力すると、比較リストとして並べられます。
費用を抑える工夫として有効なのは、見せる部分と隠す部分で素材・仕上げのグレードを使い分けることです。正面や目に触れる面だけ無垢材や突板を使い、内部や背面は集成材にするなど、見た目と予算のバランスを取る方法があります。見せる収納と隠す収納を使い分けるだけで、総額を3〜4割程度抑えられたという事例も報告されています。
そのほか、セミオーダー製品(規格サイズの中から素材や色を選べるタイプ)を検討する、複数業者から相見積もりを取る、内装工事とまとめて発注して搬入・調整の手間を減らす、といった工夫も総額の圧縮につながります。
注文家具の失敗の多くは、採寸や用途の確認が不十分なまま発注してしまうことから起こります。代表的なパターンと回避策を整理しました。
採寸のズレで搬入できない・すき間ができる:現地採寸を省略したり、既存の建具や配管の出っ張りを見落としたりすると、納品時にサイズが合わないトラブルにつながります。必ず現地での採寸・現地確認を依頼先に行ってもらいましょう。
1社だけの見積もりで発注してしまう:注文家具には定価がないため、1社だけの見積もりで契約すると、相場より高い金額で発注してしまうリスクがあります。最低でも2〜3社から見積もりを取り、金額だけでなく素材・仕上げの提案内容も比較することをおすすめします。
内装工事とのタイミングがずれる:注文家具を内装工事と別々に発注すると、製作・納品のスケジュールが噛み合わず、工事全体の完成が遅れることがあります。内装工事とあわせて発注するか、少なくとも早い段階でスケジュールを共有しておくと安心です。
ほぼ同じ意味で使われています。一般的に「造作家具」は建物に固定して作り付けるタイプ、「注文家具(オーダー家具)」は固定・置き型の両方を含む広い意味で使われる傾向がありますが、明確な使い分けの基準はありません。
アイテムやサイズによって差はありますが、同じような仕様であれば既製品より高額になる傾向があります。定価がなく依頼先によって金額差が大きいため、相見積もりで比較することをおすすめします。
可能ですが、採寸やスケジュールの調整が難しくなりやすい点に注意が必要です。内装工事を依頼する会社にまとめて発注すると、現場のすり合わせがスムーズになり、結果的に総額を抑えられるケースもあります。
大工工事・家具工事それぞれの得意分野が異なるため、依頼したい家具の仕様(引き出しの有無、塗装仕上げなど)を決めたうえで、複数の業者・依頼先に同じ条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
はい、何度でもご利用いただけます。検討を始めた段階と、採寸・見積もりを終えた段階でそれぞれ採点して比較リストに並べると、準備がどれだけ具体化したかを確認しやすくなります。
注文家具の費用は、アイテムの種類・素材・依頼先によって大きく変わり、既製品より高額になりやすいことを前提に予算計画を立てることが大切です。カップボードやテレビボードなどアイテム別の相場感を押さえたうえで、大工工事と家具工事どちらが向いているかを整理し、内装工事とのタイミングも早めに共有しておくと、後からのやり直しを防げます。内装デザイン全体の費用相場は内装デザインの費用相場と業者比較ガイドもあわせてご確認ください。
まずは発注前チェックリストで、現時点の準備度を点数化してみてください。注文家具のお見積もりやご相談は、お問い合わせフォーム、またはお電話(0120-703-839)からどうぞ。
