この記事について(タップで開く)


この記事では、みなさまが安心して検討できるように、一般的な考え方や参考の目安をまとめています。
建物や地域のきまりによって条件が少し変わることもありますので、くわしい内容は各メーカーや法令も合わせてご確認ください(2025年11月時点)。

SNSを通じて人が集まるお店には、**空間の「見え方」**に小さな工夫があります。
導線・照明・背景の整え方ひとつで、写真の印象が変わり、自然と“撮られやすい”空間が生まれます。

本記事では、店舗リニューアルを考える方に向けて、「映える」を設計するための判断材料をまとめました。
専門的な助言というよりも、誰でも再現できる考え方として、実際のデータや実務の目安を交えながら、分かりやすく整理しています。

 

参考データを見る(タップで開く)

【考え方の目安】 当社では「今ある空間を活かしながら、気持ちよく過ごせる売場づくり」を大切にしています。

【参考データ】
期間:2024年1月〜2025年9月(n=172/店舗案件)
・導線調整による歩行距離:平均7.8m短縮
・平均滞在時間:+14分
・SNS投稿率(目安):+38%

【出典】
建築基準法・照明学会指針・メーカー仕様(2025年11月時点)

【ひとこと】
光や動線の小さな変化が、撮影や滞在のしやすさにつながることがあります。
雰囲気づくりのひと工夫として、参考にしてみてくださいね。

映える売場の全体像

SNSで映えるお店は、空間全体のバランスを意識することから始まります。
写真を撮る場所・立ち位置・照明の方向が自然に整っていると、
来店者が思わずカメラを向けたくなる環境が生まれます。

この章では、売場づくりの全体像を
「①空間の流れ」「②照明の見せ方」「③背景と印象づくり」の3つに分けて見ていきましょう。

空間の流れをデザインする

導線は、単に人を動かすための線ではなく、**“体験を導く流れ”**です。 入口から商品棚、レジやイートインまでの距離と角度を意識することで、 自然と視線が移動し、写真にしたときの奥行きが生まれます。

特にSNSで共有される写真は、正面よりも斜め構図が多く見られます。
そのため、入り口から見たときに“抜け感”ができるようなラインを意識すると、
投稿したくなる空気感が演出しやすくなります。


照明が生み出す「雰囲気の方向性」

照明は、写真の印象を決める大切な要素です。 温かみを出したい場合は、3000〜3500Kのやや暖色寄りにすると、 パンや木材などが柔らかく見えます。

一方、清潔感を重視したい場合は、4000〜4500K前後の白色光が向いています。
ただし、明るさを上げすぎると反射で白飛びすることがあるため、
**「明るすぎず、影が残る程度」**を目安に調整すると自然な印象になります。


背景で空間に「抜け感」をつくる

背景は、SNS投稿時に**“情報の整理”**として機能します。
壁や什器の色味を抑えることで、主役である商品や人の表情が際立ちます。
白や淡いグレー、木目などの自然素材を使うと、どの照明とも馴染みやすくなります。

また、背景の明暗差を小さくすると、カメラの露出が安定し、どの角度から撮っても色味がきれいに写りやすくなります。
これは「特別な機材がなくても美しく撮れる空間に近づける考え方です。


このように、導線・照明・背景の三要素を“同時に整える”ことが、
SNSで自然と選ばれる売場づくりの第一歩です。

導線・照明・背景の関係

導線・照明・背景は、それぞれが独立していそうで実は密接に影響し合う要素です。
光の方向が動線を生み、動線の曲がり角が背景を切り取る。
このバランスを意識するだけで、店舗の印象が大きく変わります。

ここでは、3つの視点「①導線と視線」「②照明と奥行き」「③背景の一貫性」から整理してみましょう。


導線がつくる「視線の流れ」

人は、光の方向と開放感に引き寄せられる傾向があります。 そのため、**明るい場所を奥側に設定すると自然に店内へ進みたくなる**流れができます。

レイアウト上の工夫としては、入り口付近に「目を引く要素(看板や季節装飾)」を置き、
奥には“明るさの出口”を感じさせる空間をつくること。
この流れがあると、店内全体を歩いてもらいやすくなります。

視線の抜けを意識することで、SNS投稿時の“奥行きのある写真”にもつながります。


照明が導線を補助する

照明は、通路の方向をやさしく示す「光の矢印」のような役割を持ちます。
たとえば、棚の間にスポットライトを等間隔で配置すると、 歩く方向が自然に定まり、滞在時間が長くなる傾向があります。

また、照度の強弱を段階的に変えると、**“歩きやすい明暗のリズム”**が生まれます。
SNS映えを狙う場合でも、照明を均一にせず、商品や背景に合わせて“光を置く”ようにデザインすると、立体感が生まれ、どの角度から撮影しても奥行きのある一枚になります。


背景の統一感が印象を整える

背景は、店舗の「記憶の色を決める要素です。
壁や什器の素材・トーンが統一されていると、写真全体に落ち着きが生まれます。
特に、**白・木・グレー系の中間トーン**は光の反射が柔らかく、SNSでも自然な印象を保ちやすい傾向にあります。

背景をシンプルに保つことで、商品や人物が主役として映え、「どこで撮ってもきれいに写る空間をつくることができます。


導線・照明・背景は、互いにバランスを取りながら整えることで、
“映える”というよりも**「選ばれる売場」**へと近づいていきます。
どの要素か一つに偏らず、全体をやさしく整える設計を心がけましょう。

業態別の要点(物販/食品/カフェ併設)

業態によって「映え」の条件は少しずつ異なります。
物販なら“陳列のリズム”
食品なら“清潔感と奥行き”
カフェなら“滞在の温かみ”。
それぞれの店舗に合ったバランスを見つけることが大切です。

ここでは、3つのタイプ別にポイントを整理していきましょう。


物販店舗|動線と照明のリズムで見せる

物販店舗では、商品そのものが主役です。
そのため、照明は**均一ではなく「波」を持たせる**のがポイントです。
通路部分は少し暗めに、陳列棚の上は明るめに設定すると、 視線が自然に商品へ向かい、写真にも立体感が出ます。

また、SNSでの共有を意識するなら、レジから入口方向の写真を想定して背景を整えると、人の流れと撮影の流れが重なり、どこから見ても整理された印象になります。


食品店舗|衛生と照明の両立

食品を扱う店舗では、清潔感を最優先に考えましょう。 照明の色温度を3000〜3500Kにすると、パンやフルーツなどが自然でおいしそうに見えます。
厨房と販売エリアの光の明るさを揃えることで、**ガラス越しの“白飛び”を防ぎ、奥まできれいに見せる**ことができます。

ただし、食品を扱う場合は、食品衛生法の施設基準を確認することが大切です。
換気量や洗浄区画など、構造面の基準が細かく定められています。

 出典: [食品衛生法(施設基準の概要) – 厚生労働省]

このように衛生面の条件を踏まえたうえで照明設計を行うと、
安全で心地よい印象を保ちながら、撮影しても美しく見える空間に整います。


カフェ併設店舗|温度感のある“過ごしやすさ”を演出

カフェ併設型では、来店者の多くが滞在を目的としています。
そのため、照度を少し下げたやわらかい光づくりが大切です。
座席上は280lx前後の温白色(3500K前後)が目安です。

壁面やテーブル面に反射を多く使い、**“人がきれいに映る光”**を意識すると、写真にも温かみが出て、自然なSNS投稿につながります。
また、音や香りの印象も写真の印象を左右するため、
素材の色味や背景トーンを整えて、五感のバランスを取るとより一貫した雰囲気になります。


業態が違っても、“映えの本質は同じです。
導線・照明・背景をバランスよく整え、体験と写真の両方が心地よい空間を目指しましょう。

費用と工期の目安(シミュレーション)

費用と期間は、建物の構造や面積、設備の状態によって変わりやすい項目です。
同じ広さでも、仕上げの種類や照明の計画によって合計は少し動きます。
ここでは、まず前提をそろえたうえで、規模別の目安と、進め方に応じたスケジュールの考え方を分かりやすく整理します。
金額はあくまで参考のシミュレーションとしてご覧ください。


前提条件と計算のしかた

金額を見比べるときは、**同じ条件をそろえる**ことから始めると分かりやすくなります。
たとえば、解体の有無、床・壁・天井の仕上げ、照明器具の点数、什器の新調/転用などをそろえるイメージです。
内訳は
「設計・申請」
「工事(解体/下地/仕上げ)」
「照明・電気」「設備(必要に応じて)」「什器」「予備費」
に分けると、検討がしやすくなります。
予備費は**おおよそ5〜10%ほどのゆとり**を見ておくと、素材変更や小さな追加にも落ち着いて対応しやすいです。
この整理をしておくと、後から条件が変わっても、どの部分が動いたのかが追いやすくなります。


規模別の参考レンジ(同条件の目安)

目安はあくまで「似た条件」で集計したシミュレーションです。
素材の等級や照明の点数で上下しますので、**お店らしさを大切にしながら**調整していきましょう。

規模・内容
参考費用(税別)
主な内容
工期の目安
小規模:10〜20坪
180〜280万円前後
壁・床・天井の更新、基本照明の入替
約2〜3週間
中規模:20〜40坪
320〜520万円前後
仕上げ更新+演出照明+一部什器
約3〜4週間
撮影ブース追加
約70万円前後
撮影照明・背景面・簡易什器
約1〜1.5週間
食品系の衛生対応
150〜250万円前後
手洗い・動線調整・素材切替
約2週間

「食品系」は、衛生面のきまりを満たすことが前提になります。
地域や建物のきまりで内容が少し変わることがありますので、該当する場合は早めの確認が安心です。
写真の印象を大切にしたいときは、照明と背景の予算をやや厚めに考えると、仕上がりの満足度につながりやすいです。


スケジュールの流れと発注方式の考え方

進め方は段階に分けて考えると、イメージがつかみやすくなります。
「現地確認・方向性の整理(約1週)→基本計画と概算(約1〜2週)→詳細設計と正式見積(約1〜2週)→工事(約2〜3週)」という流れが一つの目安です。
申請や管理組合の手続きが必要な建物では、**準備期間に少しゆとり**を持たせると、全体がスムーズに進みます。
発注方式は、設計と工事を一体でお願いする方法もあれば、段階を分けて進める方法もあります。
迷われるときは、**比較の観点(条件・期間・指標)をそろえたうえで**見比べると、納得感のある選び方につながります。

見落としがちなポイント

店舗のリニューアルでは、設計中に気づきにくいポイントがいくつかあります。
特に「撮影目的の来店」「照明の調整」「音や香りの印象」などは、完成してから見え方が変わることもあります。
この章では、**“あとから気づきやすい3つの視点”**をまとめてご紹介します。


① 来店導線と撮影導線のズレ

SNSで写真を撮る方と、買い物や飲食を目的とする方では、**立ち止まる位置や動線**が少し違います。 両者が重なると、店内が混み合ってしまうことがあります。
あらかじめ「撮影のために立ち止まりやすい場所を想定しておくと、全体の流れがスムーズになります。

たとえば、商品の陳列棚から半歩離れた位置に小さなスペースを設けると、撮影導線と来店導線を自然に分けることができます。
これにより、他のお客さまも動きやすく、SNS投稿のしやすさも高まります。


② 光の強さと色の重なり

照明は、時間帯や天候によって印象が変わることがあります。
特に大きな窓がある場合、昼間は自然光が入りすぎて、夜と印象が変わるケースもあります。

このような場合は、調光機能付きの照明を選ぶと、時間帯に合わせて明るさを調整できます。
また、照明色を一律にせず、商品に合わせて「暖色」「中間」「白色」を適度に分けると、自然な立体感が生まれます。

照明を均一にするよりも、“光を置く”ようにバランスを整えると、映りの良さと居心地の良さが両立します。


③ 音・香り・背景のトーンバランス

SNS映えというと、見た目に意識が向きがちですが、実際は**五感のバランス**が全体の印象を決めます
BGMの音量や種類、アロマや焼きたての香りなども、写真を見た人の想像に影響します。

背景の素材や色味を整える際は、香りや音の印象も一緒に考えると、空間全体がやわらかくまとまります。
特に、木や布などの自然素材は音の響きをやさしくし、香りとも調和しやすい傾向があります。


このような“見落としがちなポイント”を最初に整理しておくと、
後からの修正が少なくなり、結果としてコストや期間にもゆとりが生まれます。
光・動線・音・香り・背景を「五感で整える」という視点で見直してみましょう。

まとめ

SNSで「映える」お店づくりは、特別な演出よりも**“整った空間の積み重ね”**から生まれます。
導線・照明・背景・音・香りなど、いくつかの要素が自然に調和すると、
写真を撮りたくなるだけでなく、滞在したくなる空間にもなります。

本記事でご紹介したポイントは、どれも一般的な考え方や判断材料として整理したものです。
実際の設計や施工では、建物の構造や地域のきまりによって条件が少しずつ変わります。
そのため、迷ったときは現場の状況を見ながら、**「どう見せたいか」「どう過ごしたいか」**を軸に整えていくと安心です。

空間は、形だけでなく“体験”として記憶に残るものです。
照明の色味や動線の流れを見直すだけでも、印象が大きく変わります。
SNSで選ばれるお店づくりの第一歩として、
無理なく、気持ちよく続けられるデザインを目指してみてくださいね。

店舗の内装デザインはリクテカデザイン

 

監修・実務データについて(タップで開く)


本記事の内容は、当社(リクテカ・デザイン)が2024年〜2025年に実施した店舗・オフィス内装プロジェクト(n=172件)をもとにまとめています。
設計・監修は、一級建築士/内装設計ディレクター:櫻井 まこと(Recteca Design)。
実務分野は、導線設計・照明・空間ブランディングなどを含みます。

 

この記事について(タップで開く)

この記事では、みなさまが安心して検討できるように、一般的な考え方や参考の目安をまとめています。 建物や地域のきまりによって条件が少し変わることもありますので、くわしい内容は各メーカーや法令も合わせてご確認ください(2025年11月時点)。

 

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更新履歴:2025年11月21日 統合・改訂。
旧記事(SNS映えするパン屋の作り方大手企業向けベーカリー設計事例)を本記事に統合し、内容を最新化しました。

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