社内コミュニケーションの活性化、気分転換による生産性向上、リモートワーカーとの交流拠点──。
オフィスにおける「ラウンジエリア」は、単なる休憩場所にとどまらず、企業文化や働き方に影響を与える重要な空間です。
しかし、「設置したけれど使われない」「いつも同じ人しか使わない」といった声も少なくありません。
その原因の多くは、配置の工夫不足にあります。
本記事では、オフィスラウンジの配置を最適化する具体的な方法について、空間設計のポイントや成功事例を交えてご紹介。
限られたスペースでも“使われる場所”に変える工夫を解説します。
オフィスにせっかく設けたラウンジが「使われない場所」になっているケースには、共通する原因があります。
よくある失敗例を知ることで、配置を最適化するための改善策が見えてきます。
ラウンジが奥まった位置や目に入りにくい場所にあると、社員にとって“見えない場所”となり、存在すら忘れられてしまうことがあります。
動線上にないことで「わざわざ行く必要がない場所」になってしまい、結果的に利用されず放置されがちです。
視認性とアクセス性は配置設計の基本です。
「ここは打ち合わせ用?それとも休憩用?」と使い方が曖昧だと、社員はその空間の目的を判断できず、結果として利用を避ける傾向があります。
オフィス内に多目的な場は必要ですが、ラウンジにおいては用途を明確にし、誰が・いつ・どのように使うのかを意識させる設計が不可欠です。
照明が明るすぎる、周囲の声が丸聞こえ、あるいは視線が気になる場所は「休む空間」として不適切です。
快適に過ごすには、視覚・聴覚・心理的な快適性が揃っていることが重要です。
配置と合わせて環境要素も設計に組み込み、“自然と滞在したくなる空気感”を整える必要があります。
オフィスの中で社員が気軽に立ち寄り、会話や休憩が自然に生まれるラウンジにするためには、単なる設置だけでは不十分です。
空間の配置や視認性を戦略的に整えることで、社員の行動が変わります。
人の動線に沿って配置されたラウンジは、社員の“ついで利用”を誘発します。
出入り口、給湯スペース、コピー機の周辺など、日常の移動ルートと交差する場所にラウンジを置くと、「見たから使う」「通ったから座ってみる」といった無意識の行動を促すことができます。
視認性の高さが最重要です。
大きいラウンジを設置する場合は、1つの空間に複数の目的が混在すると、静かに休みたい人と話したい人がぶつかり、どちらも使いづらくなります。
たとえば奥側は読書や仮眠用、中央は雑談スペース、入り口側は立ち話や短時間作業用といったゾーン分けで、各ニーズに応える配置設計が可能です。
音や視線も考慮が必要です。
広く開かれすぎた空間では落ち着かず、社員は長居しづらくなります。
観葉植物やパーテーションを使って視線を緩やかに遮ることで、開放感と安心感を両立できます。
特に一人で過ごしたい人にとって、“人目が気にならない空間”はリフレッシュに直結するため、設計の重要なポイントとなります。
限られたスペースしかない中小規模オフィスでも、工夫次第で快適なラウンジエリアは実現できます。
導線や機能を意識した配置で、“小さくても使われる空間”に生まれ変わらせることが可能です。
たとえ6畳程度のスペースでも「座る・話す・作業する」の用途を家具配置で分けることで、目的に応じた活用が可能になります。
例えばソファ+ローテーブルで雑談、ハイテーブルでPC作業、壁際のカウンターで一人時間など、動きやすく視線の干渉を避けた設計が重要です。
中小オフィスでは導線と一体化したラウンジが特に有効です。
通勤入口〜執務席の間やコピー機横など、自然に通る場所にベンチやカフェテーブルを設置することで、「通りすがりに座る」習慣が生まれます。
場所を無理に確保するよりも、“流れに沿った組込み”が効果的です。
狭くても“雰囲気のある空間”に仕上げることは可能です。
間接照明や木目調の家具、グリーンやクッション素材を活用すれば、面積以上のリラックス効果を感じられます。
面積に頼らず「設え」で勝負する発想が、スペースに余裕のないオフィスでは重要な要素となります。
ラウンジ導入後に社内の雰囲気や業務効率が向上した企業の事例をご紹介します。
実際に何が変わったのか、どんな配置工夫が成功に結びついたのかを具体的に見ていきましょう。
ある小規模IT企業では、以前は無人だった給湯室横のスペースをカフェ調に整備し、ミーティング不要の「ちょっとした相談」が自然に増加。
机上の調整ではなく“動線上の仕掛け”が成功要因となり、部署間のコミュニケーション活性化に貢献しました。
配置と雰囲気づくりがポイントでした。
新卒採用に力を入れる人材系企業では、エントランスから見える位置に“社内の顔”としてオープンラウンジを設けました。
応募者がオフィスの開放感や風通しの良さを直感的に感じられることで、エンゲージメントが高まり、内定辞退率も減少。
ブランディング効果も高く評価されました。
あるクリエイター系企業では、執務スペースとの間に半透明のパネルで仕切られたラウンジを設け、社員が頭を切り替える“中継点”として活用。
1日10分の休憩でも心身のリフレッシュ効果があり、プロジェクト進行の効率が上がったと実感されています。
静と動のバランス設計が奏功しました。
ラウンジ設置は期待が大きい分、準備や運用に失敗すると「誰も使わない空間」になるリスクもあります。
導入時に注意すべき点や、段階的な改善方法を整理して、長く活用される空間に仕上げましょう。
設置だけではなく「何のために設けたか」を全社員に共有することが不可欠です。“気軽に使っていい”というルールを見える化しないと、気を遣って誰も使わない結果になります。
周知ポスターやイントラ投稿、初期利用者の推進などで、「使うことが当たり前」の空気を作る必要があります。
ラウンジが一度設置された後、使われていないなら、使われない理由を現場から直接聞くのが最も効果的です。
照明・音・家具レイアウトなど、微調整だけで使用頻度が一気に増すこともあります。
アンケートやインタビューを活用し、段階的にアップデートする姿勢がポイントです。
最初から完成度100%を目指すよりも、仮設レイアウトで使われ方を見ながら調整していく手法もおすすめです。
軽量家具や可動式パーテーションなら変更も簡単で、予算も抑えられます。
社員の反応を見ながら、段階的に理想のラウンジへと育てていく考え方が成功のポイントです。
オフィスラウンジは、ただ設置するだけでは活かされません。
社員の動線・視認性・用途別ゾーニングを意識した“配置の最適化”によって、ようやく“使われる空間”になります。
小規模オフィスでも、動線上への配置や素材演出で雰囲気あるスペースを実現できます。
RECTECA DESIGNでは、企業規模や利用目的に合わせて、成果につながるラウンジ設計をご提案しています。
ぜひお気軽にご相談ください。