オフィス移転で内装の相見積りを取ったのに、後から追加費が出て困った経験はありませんか?
本記事では見落としがちな13費目見積書の赤信号サインを、実務の流れに沿って整理します。
養生・仮設・搬入出、夜間や土日の割増、ビル申請、消防・弱電、回線/ICT、残置撤去や臨時保管まで解説します。
さらに「一式」や「別途」だらけの見積りを見抜くチェック方法も分かりやすくお伝えします。
この記事は、オフィスの移転に伴い、内装業者の比較検討をする総務・経営者の方のための記事です。
予算超過や納期遅延、二重コストを防げる判断軸を持って、安心してオフィスの移転プロジェクトを進めましょう!

移転内装の見積り全体像と落とし穴|A/B/C工事・原状回復・ビル申請の関係

オフィス移転の見積りは、入居側の内装工事退去時の原状回復、そしてビル側への工事申請や指定工事が重なる多層構造です。
境界が曖昧なまま進めると、後追いの追加費用や工程に遅れが発生するリスクが増えるので注意が必要です。
一般的には6〜8カ月前から基本設計・調整を開始し、2カ月前を目安に原状回復を手配すると、突貫対応を避けやすくなります。
早期にA/B/C工事の区分とビル管理のルールを洗い出し、相見積りの前提条件をそろえましょう。

A/B/C工事で費用負担と発注者が変わる仕組み

A工事はビル側が発注・負担する共用部関連、B工事はテナント負担ですが、ビル指定業者が担当、C工事はテナントが業者を選べる内装領域というルールが一般的です。
同じ工事項目でも、B工事はビル側が介入するために交渉が効きにくく、C工事は仕様の裁量が広く、テナントの選択肢が多いため、求める内装レベルによって価格構造が大きく変わります。
また、物件ごとに区分の考え方が異なるため、賃貸借契約や管理規定を的確に読み取り、工事区分表を作って提示しましょう。
RFP(依頼書)には「誰が発注し誰が負担するか」を明記し、比較の土台を統一します。
この整理ができていないと、相見積もりは“同じ土俵”で比べられず、後から別途費用が発生しやすくなります。

原状回復と入居工事の境界を誤解しない

原状回復は「借りた状態に戻す」作業で、天井や空調などの設備系はB工事扱いになるケースがあります。
入居時に触れた設備は、退去時にビル指定業者で戻す必要があり、二重コストにつながることがあります。
この境界は契約・図面・仕様書で明記し、入居側の設計判断と連動させて管理しましょう。
スケジュール上は2〜3カ月前の原状回復発注を目安に、引越し、停電試験、クリーニングの順序を整えると混乱を避けて、スムーズに進められます。
境界の見える化ができれば、相見積もりの前提も揃い、不要な追加を抑えられます。

ビルの工事申請・工期制約が見積もりに与える影響

ビルによっては工事可能時間が平日日中に限定され、騒音作業は夜間・土日工事となり、割増がかかる場合があります。
貨物EVの予約、共用部の養生、搬入出動線の確保、共用部使用料なども数量や単価に直結します。
相見積もりの前に管理規定を把握し、作業の時間帯、申請書類、立会いの要否を整理しましょう。
RFPには「作業ウィンドウ」「養生範囲」「搬入回数」などの条件を具体的に書き、別途・一式の発生余地を減らします。
早めのビル側協議と工程表の共有が、余計なコストと手戻りを確実に抑えます。

相見積もりで見落としがちな費目13項目(前編:工事・仮設・安全)

移転内装の見積りには、工事そのもの以外に仮設・搬入出・安全管理などの付帯費が多く潜みます。
これらは、数量や現場条件で増減しやすく、比較表から抜け落ちると後半で別途計上されます。
相見積もり段階で前提条件を文書化し、同一土俵での比較を可能にしておきましょう。

養生・仮設・搬入出・共用部使用料の抜け

共用部や室内の養生は、材質や面積、期間で費用が大きく変わります
仮設電源や仮設照明、集塵機などの仮設設備も、工程延長に比例して積み上がります。
貨物EVの予約制限や台数制限がある物件では、搬入出回数が増え、作業員待機や夜間シフトが発生しがちです。
管理規定に応じて共用部使用料や立会費が必要な場合があり、見積もりから漏れると後で別途で請求される場合があります。
RFPには「養生範囲」「仮設の種類」「搬入回数と時間帯」「共用部の使用条件」を数値で記載し、数量根拠をそろえましょう。

産廃処理・残置物撤去・臨時保管費の見逃し

解体・造作に伴う産業廃棄物処理は、材質区分や分別レベルで単価が変動します。
引越し直前まで使う什器や在庫の残置物撤去は、現調時に未確定だと一式処理になりがちなので注意が必要です。
新旧オフィスの受け渡し日がずれると、什器や書類の臨時保管費再搬入費が発生し、見積り外のコストになります。
廃棄と再利用の仕分け基準、写真付きリスト、保管場所と期間を先に決め、数量表と連動させましょう。
マニフェストの発行や証跡管理の要否も記載すれば、後追いの追加や手戻りを抑えられます。

夜間・土日工事の割増/騒音規制対応コスト

ビルの作業可能時間が限られると、夜間・土日工事の割増や監督常駐費が発生します。
騒音や振動の規制が厳しい場合、工程を細分化して静音工法切替手順を組む必要があり、人工と日数が伸びます。
近隣テナントの稼働時間に合わせると搬入窓が短くなり、作業効率が落ちてコストが上がります。
RFPには「作業ウィンドウ」「騒音禁止時間」「夜間割増の扱い」「監督体制」を明記し、各社の前提差を解消しましょう。
工程表と連動した数量計画にすれば、見積りのぶれを最小化できます。

相見積りで見落としがちな費目13項目(後編:設備・申請・運用)

移転では空調・電気・消防・弱電・ICTといった設備系の条件差が、見積り金額と工程を大きく左右します。
「同じ図面なのに金額が違う」多くの原因は、ビル規定や既存設備の性能、切替手順の想定が各社でばらつくことにあります。
前提条件をRFPで固定し、社内の運用要件も早めに共有して、別途・一式の余地を小さくしましょう。

空調容量・電源増設・系統切替の追加費

レイアウト変更や人員増により空調能力が不足すると、ゾーニング追加や機器能力アップ、ダクト改修が必要になり費用が跳ね上がります。
電源増設は分電盤の空き回路、幹線容量、床下配線距離で単価が変わり、サーバーや複合機の専用回路指定もコストに影響します。
既存の系統が天井内で複雑に分岐していると、停電を伴う系統切替や仮設電源の手当が必要になり、夜間割増が発生します。
RFPには「最大同時使用電力」「機器の定格」「専用回路の数」「無停電の要否」を明記し、現調で盤面写真や回路表を共有しましょう。
空調・電源は運用開始後の不具合が業務停止に直結するため、予備容量の考え方も仕様に書き込むと安全です。

消防・弱電・防災(感知器移設・届出)の必須対応

会議室や個室の新設で火災感知器・スプリンクラー・非常照明の位置が基準に適合しない場合、移設や増設が必要になります。
天井の意匠を優先して梁や照明配置を変えると、感知エリアを再計算する追加設計費が発生しがちです。
防災盤や放送設備との連動も含むため、ビル指定のB工事扱いとなり、テナント側では金額のコントロールが難しいことがあります。
RFPには図面に加え「想定収容人数」「可動間仕切りの有無」「遮音天井の仕様」など連動条件を記載し、届出や検査の手順とリードタイムも提示しましょう。
弱電については、入退室や監視カメラの配線経路と保存要件を示すと、後日の別途配線やハード追加を避けられます

回線・LAN・電話・ICT移設と停電試験の手当

固定回線の新設や移設は、申込から開通までのリードタイムが長く、工程全体のクリティカルパス(プロジェクト全体の完了日も遅れ)になりがちです。
コアスイッチや無線APの台数・配置・PoE容量、配線距離、床下経路は数量に直結するため、図面と台帳で早期に確定させましょう
PBXをクラウド化するか、番号継続をどう扱うかで、機器・配線・試験の範囲が大きく変わります。
移転前夜の停電試験、通信機器の切替、DNSや認証の切替手順を工程表に反映し、夜間立会いや仮設回線の要否を見積もり条件に含めてください
ICTは引越し業者や内装業者、ビル指定業者との連携点が多いため、担当窓口と休日切替の判断基準までRACIで可視化するとトラブルを減らせます。

見積書の「赤信号」サイン一覧|不透明な見積りを見抜くコツ

相見積りの質は、金額そのものよりも根拠の明確さ(能力が高く、誠実な業者)で決まります。
不透明な見積書には共通するサインがあり、早い段階で気づけば手戻りと追加費を避けられます
ここでは特に見逃しやすい「表記のクセ」「別途の扱い」「前提条件のズレ」に注目して、確認の観点を整理します。
チェック項目をRFPと見積フォーマットに落とし込み、全社同条件での比較を徹底しましょう

「一式」表記過多・数量未記載・仕様不明

「一式」表記が多い見積りは、数量や仕様の根拠が追えず、比較ができません。
施工面積、枚数、台数、配線メートルなどの数量が記載されているかをまず確認しましょう。
仕上げ材は品番、メーカー、厚み、耐久等級まで示し、什器はサイズや色、納期と組立費の有無まで記されていることが望ましいです。
電気・弱電は図面と整合する回路数・口数・配線距離を合わせ、図面番号で参照できるようにします。
不明点が多い場合は、「内訳明細の分解」「数量表の添付」「図面整合チェック」の3点を条件に、全社へ同時に再提示を依頼しましょう。
数量が見える化された見積りだけが、フェアな相見積りの土台になります。

「別途」多発・仮設雑費の丸め込み

「別途」と書かれた項目が多いと、契約後に追加請求へ膨らむリスクがあります。
特に養生・搬入出・発棄処理・仮設電源や仮設照明といった仮設雑費は、丸め込みやすく要注意です。
別途の定義をRFPで「金額ゼロではなく範囲未確定」と明示し、数量が確定できるものは見積りに取り込むよう指定しましょう。
夜間・土日割増、ビル立会費、共用部使用料、停電試験などは発生条件と単価を事前に書かせておくと、後日の認識差を防げます。
「諸経費○%」の根拠も、現場管理、人件、運搬、駐車、通信などの内訳を提示してもらうと、妥当性の評価がしやすくなります。
別途は“例外”であり常態ではないという姿勢を全社に共有しましょう。

相場乖離・前提条件の不一致・異常な安値

極端に安い見積りは、仕様抜けや工程短縮前提、要員過少などのシグナルであることが多いです。
ビル申請の必要書類や作業可能時間帯、共用部ルール、停電試験の有無など前提条件が一致しているかをまず照合しましょう。
数量や仕様が同じでも、B工事の扱い、夜間工事の有無、検査の立会い条件が違えば、総額は大きく変わります。
相場から外れた単価は、最近の仕入価格や物流費、為替影響を踏まえた根拠の説明を求め、説明できない場合はリスクとして評価します。
異常値が出た項目は、他社の単価と比較しながら仕様差か算定ミスか戦略値引きかを切り分けます。
安さの理由が言語化できない見積りは、結果的に高くつくという前提で判断しましょう。

比較可能なRFP・仕様書・スケジュールの作り方|二重家賃も最小化

相見積りを公平にするには、RFP(依頼書)・仕様書・数量表・工程表をワンセットで用意し、全社へ同条件で配布することが基本です。
要件が文章だけだと解釈差が生まれます。
図面や写真、台帳で定量化し、ビル規定や作業ウィンドウも明記しましょう。
移転日は固定し、原状回復と入居工事、ICT切替の前提を揃えるほど、後日の別途や遅延が減ります。
結果として二重家賃の期間も短縮できます。

図面・仕上げ表・数量表の必須要素

平面図だけでなく、仕上げ表数量表セットにすると、見積りの精度が上がります。
床・壁・天井の材質と品番、ガラス・建具の仕様、電気口数や配線距離、通信ラック寸法、什器のサイズと数量を明記してください。
写真付きの現況記録、盤面や天井内の配線状況、床下有効高さなども添えると、解体数量や設備費のばらつきが抑えられます。
仕上げ材は耐久等級や清掃性、在庫可否、納期を追記し、選定の根拠を共有しましょう。
これらをテンプレート化すれば、オフィス 移転に係る内装業者間で同じ土俵の比較が可能になります。

現調・試験・ビル協議の前倒しとチェック項目

現地調査では、天井内のダクト・配線経路、分電盤の空き回路、空調のゾーン分け、床下配線障害を確認します。
ビル側とは、工事申請の様式、作業可能時間、発生音規制、貨物EVや搬入動線、養生ルール、立会いの要否を擦り合わせます。
消防や弱電の届出リードタイム、停電試験の実施条件も先に確認しておくと、後戻りが減ります。
現調結果は写真と寸法でRFPに反映し、全社へ同時共有しましょう。
前倒しの協議ができれば、別途・一式の発生余地が小さくなります

切替日工程表の作り方と二重家賃の最小化

工程表は「設計・申請」「原状回復」「入居工事」「ICT切替」「引越し」「予備日」の階層で作ります。
週末や夜間の作業窓を明示し、搬入回数や作業人数、停電試験のタイミングを具体化してください。
旧オフィスの退去日と新オフィスの引渡日を重ねすぎると二重家賃が伸びます
クリティカルパスになりやすい回線開通や検査日程を先に確定し、家具納入と試験の順番を入れ替えるだけでも短縮できます。
工程と費用を連動させると、短い工期でも品質を保ちながらコストを最小化できます。

まとめ

オフィス移転はA/B/C工事原状回復ビル申請が絡み合うため、前提条件をそろえた相見積りが重要です。
抜けやすい養生・仮設・搬入出・夜間/土日割増・産廃・臨時保管を事前に数値化し、別途や一式の余地を小さくしましょう。
設備面では空調容量・電源増設・系統切替・消防/弱電届出・ICT切替をRFPに明記し、工程と費用を連動させて管理します。
見積書の赤信号(「一式」過多・数量不明・別途多発・前提不一致・異常な安値)は早期に洗い出し、全社同条件で再提示を依頼しましょう。
合意形成の精度を上げるため、3Dでの可視化(3DCAD)誠実な見積り姿勢を持つパートナーを選ぶと、品質とコストの両立に近づきます。 リクテカデザイン –
結果として二重家賃の最小化と移転当日のトラブル低減が期待できます。

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