地域に愛されるベーカリーをつくるには、パンの味だけでなく、内装デザインの工夫も欠かせません。
とくに最近は、「その地域らしさ」や「ブランドストーリー」が伝わる店舗が注目されています。
本記事では、地域密着型ベーカリーの内装デザインに焦点を当て、共感を呼ぶための設計ポイントを5つにまとめてご紹介します。
この記事によって、貴社のベーカリーブランドが、より地域に根ざした魅力的な店舗になるヒントとなれば幸いです。

カフェ併設型オープンキッチンベーカリーが注目される理由

従来のベーカリーでは、厨房は裏方で、調理風景は見えないことが一般的でした。
しかし最近では、製造の様子を見せるオープンキッチンスタイルが注目されつつあります。
そこにカフェ機能を加えることで、「見る・買う・食べる」の三位一体体験を提供できるのが、カフェ併設型オープンキッチンベーカリーの最大の魅力です。
日本ではまだ事例が少なく、話題性とブランド力を兼ね備えた設計として、大手ブランドにとっても先駆けとなる可能性があります。


製造風景が見えることで生まれる安心感とライブ感

お客様にとって、パンを焼いている様子を間近で見ることは、安心感を与える大きな要素です。
加えて、生地の動きや焼き上がる香りが伝わることで、「ライブ感のあるベーカリー」という印象を強く残すことができます。
調理工程を見せることがブランド信頼にもつながり、企業としての透明性を表現できます。
この設計は、ただのおしゃれ要素にとどまらず、安心・感動・記憶に残る購買体験として、店舗の評価を高める効果があります。


カフェ併設による滞在時間の増加と単価向上

パンの購入だけでなく、併設されたカフェでのんびりと過ごせる空間があれば、お客様の滞在時間が伸び、購買単価の向上が期待できます。
焼き立てパンとドリンクのセット販売、追加のデザートやギフトパンの購入など、複数の動機づけが可能になるのです。
また、リピーターづくりにも効果的で、「カフェでくつろげるから、また来たい」と感じてもらえる設計は、集客力の面でも大きな武器になります。


日本国内では希少な「未体験型ベーカリー」として差別化

この業態は、いまだ日本では浸透しておらず、特に都市部でも珍しい存在です。
「見せる厨房+カフェの融合空間」というコンセプトは、SNS映えや話題性にも直結しやすく、競合との差別化が極めて高いという利点があります。
消費者にとって「初めての体験」を提供できる店舗設計は、ブランドの記憶に残り、自然と口コミも広がっていくでしょう。

ブランド価値を高めるオープンキッチンの魅せ方とは?

オープンキッチンの設計は、単に「見せる」だけでなく、ブランドの世界観を体現する重要な演出空間でもあります。
清潔感・機能性・演出力の三拍子がそろった厨房は、それ自体が広告のような役割を果たします。
パン作りの“現場”を魅力的に見せることが、顧客の信頼と記憶に残る体験を生み出し、店舗のブランド力を高めることにつながります。


衛生的で魅せる厨房設計がブランド信頼を強化

オープンキッチンでは、厨房そのものが店の「顔」になります。
だからこそ、清潔感と整然とした印象が非常に重要です。
ステンレスやガラスなど衛生的に見える素材を活用し、照明によって清涼感を強調する工夫が求められます。
さらに、スタッフのユニフォームや所作も含めて“魅せる要素”として整えることで、プロフェッショナルで信頼できるベーカリーブランドとして認識されるのです。


ガラス越し×ライティングで職人技を演出する

キッチンとカフェスペースをガラスで仕切る設計は、視認性を確保しながら衛生的な距離感も保てるためおすすめです。
加えて、スポットライトや間接照明で作業エリアを照らすことで、パンをこねる・焼くといった動作がショーのように魅力的に映えます
「職人技を間近で見られる」という体験は、パンの価値そのものを高め、お客様にとっての“話題のきっかけ”となります。


厨房動線と視線設計のバランスをどう取るか

見せる部分と隠す部分のバランスも、オープンキッチン設計では非常に重要です。
バックヤードや洗い場など、見せる必要のない箇所は巧みに視線から外しつつ、一番見せたい「焼き」の工程や盛り付け」を正面に配置するなど、視線設計が鍵となります。
調理中のスタッフ動線がスムーズで、なおかつお客様から見て魅力的に映るよう設計することが、ブランドの信頼と体験価値の最大化につながるのです。

カフェスペースとの融合で実現する「滞在型」ベーカリー設計

カフェ併設型ベーカリーでは、パンを「買って帰る」だけでなく、「その場で味わう」という体験が加わります。
この体験価値を最大限に高めるには、**内装設計による“滞在したくなる空間づくり”**がポイントになります。
視覚・嗅覚・触覚を意識した演出を取り入れ、快適な動線とインテリアが整ったベーカリーは、それだけで“ブランドの物語”を感じさせる存在になれるのです。


快適な座席配置と販売導線を両立するレイアウト

カフェスペースを併設する際に重要なのは、混雑感のない座席配置とスムーズな販売導線の両立です。
具体的には、パンを選ぶスペースとイートインスペースの視覚的ゾーニングを行い、「選びやすさ」と「居心地の良さ」を明確に分けることが求められます。
また、イートイン利用者がトレイや商品を持って移動しやすい動線を設計すれば、店内全体の流れがスムーズになり、回転率と満足度の両立が実現できます


パンの香りが漂う空間演出で五感を刺激

オープンキッチンの強みは、パンの焼き上がる香りをダイレクトに空間に届けられること。
この香りは、嗅覚にダイレクトに訴える「購買意欲のトリガー」です。
カフェスペースを厨房近くに配置すれば、パンの香ばしい香りとともに、作業風景のライブ感も楽しめ、滞在そのものが心地よい“記憶に残る体験”へと昇華します


「焼き立て+ドリンク」でリピートを生む仕掛け

店内で焼き立てパンを提供し、その場でドリンクと一緒に味わえる導線は、高単価・高満足なサービス導線として非常に有効です。
また、モーニングセットや季節限定のカフェメニューを導入すれば、時間帯ごとの再訪理由も生まれます。
こうした仕掛けを空間設計と連動させることで、「行きたくなる理由」を設計できるのが、滞在型ベーカリーの最大の魅力です。

店舗動線・厨房設計・衛生対応のバランス設計ポイント

オープンキッチンである以上、店舗の動線設計・厨房効率・衛生管理は、すべて高次元でバランスをとる必要があります。
「魅せる」だけでなく、「効率よく働ける」「安全で衛生的」な環境を保つことは、ベーカリーの信頼と運営の継続性を支える基盤です。
ここでは、カフェ併設型ベーカリーにおいて意識すべき、内装設計上のポイントを紹介します。


イートイン・テイクアウトの動線を分離する工夫

最も重要なのは、イートイン客とテイクアウト客の導線が交差しない設計です。
注文カウンター・パン陳列棚・レジ・カフェ座席の配置を工夫することで、混雑感を避け、双方の体験価値を高めることができます。
特に混雑時でもスムーズに利用できるよう、パン選びから会計、座席誘導までの流れを事前にシミュレーションして設計することが肝心です。


作業効率を損なわない厨房レイアウトのコツ

オープンキッチンでは、“魅せる”だけでなく実際の作業効率も同時に求められます。
ベーカリーの場合、粉の計量・成形・焼成・陳列という一連の工程が頻繁に繰り返されるため、動線が悪いとスタッフの負担が増加します。
**ゾーニング(作業区分の明確化)**や、仕込み・冷蔵・オーブンの配置バランスを最適化することで、効率性と視覚演出の両立が可能になります。


オープン設計でも清潔感を保つ素材と管理の工夫

オープンキッチンでは、厨房が常にお客様の視線にさらされるため、素材選びと日々の衛生管理が非常に重要です。
汚れが目立ちにくく、清掃性に優れたステンレスや抗菌性の高い床材を選ぶことで、見た目の清潔感を保ちやすくなります。
また、スタッフの動線上に手洗い場や消毒ステーションを確保するなど、“魅せる=常に整えている”という印象を持たせる設計がブランド信頼の向上につながります。

話題化に成功した国内外ベーカリーの内装事例紹介

カフェ併設型オープンキッチンベーカリーの魅力は、デザインと体験価値の融合にあります。
すでに海外では、このスタイルを採用してブランド力を高めた成功事例が多数存在しています。
日本でも一部で導入され始めていますが、まだまだ数は少なく、導入すれば“話題化”に繋がる可能性が高いです。
ここでは、国内外の事例を通して、どのような設計・演出が効果を生んだのかをご紹介します。


海外の成功事例に学ぶベーカリー×カフェ設計

ヨーロッパやアメリカでは、「ベーカリー=カフェ併設」がスタンダード化しています。
例えばパリの「Poilâne」では、薪窯での製造風景をガラス越しに見せながら、店内奥にカフェスペースを配置しています。
厨房のライブ感と落ち着いた座席空間が融合し、“職人技×くつろぎ”の両立を実現しています。
こうした事例は、日本のベーカリーでも十分に応用可能です。


日本国内の先進事例とその共通ポイント

まだ数は少ないですが、例えば軽井沢の「ハルニレテラス」内のベーカリーカフェでは、テラス席と一体化した設計により自然との融合と滞在型の購買体験を演出しています。
また、都内の一部ベーカリーではオープンキッチンを採用し、作業風景を店頭から見せることで、「焼き立てをその場で」を強調した演出が話題になっています。
共通するのは、“見せたい部分”にスポットを当てた照明と視線設計の工夫です。


内装から話題を生むPR導線の設計とは

話題になる店舗には、意図された「SNS映えポイント」や「シェアしたくなる体験」が組み込まれています。
たとえば、厨房の窓に「焼きたて○分前」といった表示を加える、映える壁紙やアートを配置するなど、お客様が自発的に投稿したくなる導線を設計段階から盛り込むことが重要です。
これにより、広告費をかけずとも話題が自然発生し、内装そのものが集客エンジンとなるのです。

まとめ

カフェ併設型オープンキッチンベーカリーは、日本ではまだ珍しい業態でありながら、ブランド価値・話題性・体験価値のすべてを高められる設計手法です。
オープンキッチンで製造風景を見せることで、信頼とライブ感を提供し、カフェ空間によって滞在と満足感を演出できます。

設計にあたっては、動線・厨房効率・衛生管理のバランスをとりながら、素材や照明、視線設計まで丁寧に計画することが重要です。
そして何より、お客様が「また行きたい」と思えるような記憶に残る空間体験をつくることが、ブランドの未来につながっていきます。

ぜひ、今回ご紹介した設計の視点を参考に、新たな“体験型ベーカリー”の一歩を踏み出してみてください。

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