税理士事務所のレイアウトは、来客導線×守秘×書庫の同時最適化がポイントです。
受付から面談室・執務席までを交差させない設計で、来客も社員も迷わないように内装をレイアウトするのが理想です。
会話や資料の機密は、防音と視線コントロールで守りましょう。
紙と電子のハイブリッド運用では、複合機→スキャナ→施錠書庫を一直線に配置するとムダが減ります。
限られた坪数でも“見せる安心”と効率は両立できます
この記事では、実務で使える10の定石と費用の優先順位を整理して解説します。

受付と来客導線の正解|“見せる安心”と社内動線の分離

税理士事務所 レイアウトでは、来客用と社内用の導線を分けるだけで、初回面談の安心感と業務効率が同時に高まります。
受付から会議室に至る経路がまっすぐで社員の往来と来客が交差しないだけで、迷いと雑音が減り、秘匿性の印象も強まります。
入口付近は視線が抜けやすい場所です。
そこで受付正面にはブランドサインや落ち着いた壁面を配置し、執務席や書庫扉など「見せない面」は視線から外すと、信頼感が自然に伝わります。
この分離は小規模オフィスでも実装可能で、家具・パーテーション・植栽の組み合わせで十分に成立します。
税理士事務所の観点として、士業特有の守秘=視線と音の管理を出入口から仕込むことが要点となります。 リクテカデザイン ↵

定石1|来客導線と社内導線を物理的に交差させない

入口→受付→面談室を一直線、または折れ数回以内で結び、執務側は裏動線で回す構成が効果的です。
社員が書類を持って移動する場面と来客が交差しなければ、情報露出の不安が減り、案内中の来客視点では守秘徹底を感じ取れます。
ドア位置をずらす、腰高収納で視線を遮る、観葉植物で緩衝帯を作るなど、建築をいじらない工夫でもレイアウトできます。
小規模区画では会議室をエントランス寄りに置き、バックヤード機能は奥へ寄せると、動きが自然に整います。

定石2|受付は“視線コントロール”で信頼感を演出する

受付着座時に最初に見える景色を設計します。
正面はロゴサインと落ち着きのある素材壁、横方向に会議室への導線サイン、執務席は視線から外すのが基本です。
ガラスは必要箇所のみ採用し、抜け感(解放感)を保ちつつも、資料や執務ゾーンが見えない角度に調整します。
照明は3000〜3500Kの温白色で、机上面は明るく、背景はやや落とすと表情が柔らかく見えます。
これだけで来客は「静かで整っている」と感じやすく、初回相談の心理的ハードルが下がります。

失敗例とチェックリスト|受付前待機・サイン・手荷物置き

立ち待ちになる、行き先サインが見当たらない、鞄の置き場がない——この三つは不満の種です。
受付前に二人分の待機席と傘立て、カウンター脇に手荷物置き台を用意しましょう。
行き先サインは視線の高さで入口からも読み取れる位置に。
また、受付背面には“見せない収納”を確保して、宅配・備品・書類の一時置きを隠すと印象が崩れません。
導線サインと荷物置きのセット化は、少額で体験価値を大きく底上げします。

面談室と防音計画|機密会話を守る配置と遮音等級の考え方

税理士事務所 レイアウトでは、面談室の“場所選び”と“遮音性能”の二本柱で機密性を確保します。
エレベーターや複合機、給湯などの騒音源から距離を取り、柱・梁・PSなど質量の大きい要素を背にすると優位性を確保できます。
遮音の目安は会議室でSTC(またはRw)日本建築業連合会より    53前後、個室は45前後を基準にすると、実務上の会話秘匿に十分な水準になります。
国際基準では会議室の壁性能にSTC 53、個室にSTC 40〜45を推奨する指針が示されています。
扉は“弱点”になりやすい場所です。
ソリッドコア扉+四方気密ガスケット+ドロップダウンシールで隙間を無くすと、壁性能に見合う遮音を引き出せます。
ガラスは合わせガラス(アコースティック中間膜)や二重ガラスを選び、框と床・天井取り合いのシールを丁寧に仕上げます。
小さな開口やスリットも音漏れの主因です。
“点”と“線”の隙間を潰す発想が効果的です。

空調騒音は“静かすぎ”ても“うるさすぎ”ても会話のしやすさに影響します。
会議室はNC 25〜30、個室はNC 30〜35を狙い、ダクトやグリルで風速を抑えましょう。
設備機器の選定と吸音で背景ノイズを整えると、少ない工事で体感の機密性が上がります。

室内の残響も会話漏れと聞き取りづらさの原因になります。
壁や天井の一部にNRC 0.8程度の吸音面を25%以上配置すると、音が“こだま”になりにくく、声が遠くへ飛びにくくなります。
ピンポイントで壁一面を吸音パネルにするだけでも効果が出ます。

バックヤード側の廊下などには、必要に応じてサウンドマスキングを導入しましょう。
ごく薄い“静かなさざ波”のような音で背景ノイズをコントロールすると、会話の可聴距離が短くなり、秘匿性が底上げされます。
導入の有無は用途や好みに合わせて検討しましょう

定石3|会議室は音源から離隔し、梁(はり)・PSを遮音に活用

面談室は印刷機、電話多用席、給湯やEVホールから可能な限り離しましょう。
同じフロアでも、躯体(くたい)側の厚い構造体を背にできる位置は質量が効いて音が抜けにくく、隣室の影響も受けにくい配置です。
壁の“長手方向”を廊下に向けず、会議室同士が直接向かい合わないようにずらすと、ドア対向の漏れを避けられます。
これらは英国BCO等のオフィス設計ガイドでも推奨される考え方で、静かな背景ノイズの確保と併せて“聴こえにくい”環境を整えます。 NOISE IMPACT ASSESSMENTより

定石4|税務相談に必要な遮音目安と扉・ガラスの選び方

税務相談のように個人情報を扱う会話には、会議室の壁はSTC 50〜53程度を狙って造作すると安心です。
個室はSTC 45前後が実務上のバランスが良く、コストと施工の現実解になりやすいです。
この水準を実現するには、石膏ボード二重貼り+グラスウール充填+浮き床や二重天井などで“質量と密閉”を両立させます。
扉はソリッドコアに気密ガスケット、床側はドロップシールを、ガラスは合わせガラスや二重ガラスを採用すると、壁性能に近づきます。
規格値はWELL等の指標↵(※日本音響学会より)が参考になります。

失敗例とチェックリスト|空調騒音・スリット・隙間対策

仕上がってから「声が廊下に丸聞こえで困っている」という相談が、当社によせられることがあります。
このケースは現場調査に伺うと、扉下のアンダーカットや配線スリット、換気のリターングリル経由の“回り込み”が原因のことが多いです。
この場合は、丸ごとやり直さなくても解決できます。
天井裏の貫通部はパテで気密化、リターンは消音ボックス経由、扉はドロップシールと戸当たりガスケットで外周を密閉します。
さらに背景ノイズを会議室でNC 25〜30に整え、壁一面に吸音材を配して残響を抑えると、体感の秘匿性が大きく改善します。
細部の“点と線の隙間”と設備音のチューニングが、最後の仕上がりを左右します。

書庫とハイブリッド運用|紙と電子を最短動線でつなぐ

税理士事務所のレイアウトでは、面談→複合機→スキャナ→保管(紙/電子)を“ひと続き”に配置すると、持ち運びが原因の不備と、紛失のリスクが一気に減ります。
電子化は便利ですが、電子帳簿保存法の要件や保存年限を外すと逆に手戻りが増えます。
「紙を減らしつつ、要件は満たす」前提で、収納量・機器・セキュリティの三点を同時に設計することをオススメします。

電子帳簿等保存制度↵国税庁より

定石5|紙量の“将来見込み”から書庫容積を先出しで確保

最初に、保存年限と月間発生量から必要容積を先に決めます。
国税関係書類は原則7年(内容により例外あり)で、年度ローテーションを考えると「今の量×年限」が最低ラインだと考えられます。
背幅・ファイル種別・顧問先の増減を掛け合わせ、“今+2〜3年分の余裕”を見込むと入れ替えに追われないでしょう。
高密度収納(移動棚等)は省スペースですが、メーカーも床補強への配慮を明記しており、導入時は躯体荷重と棚転倒対策を併せて確認します。
フリーアクセス床の固定は強度が落ちやすいので、壁固定や補強材の併用が安全です。

定石6|複合機・スキャナは面談→処理→保管の一直線上に

面談直後の書類は、受付寄りのスキャン・命名・登録までを最短で完了できる位置に機器をまとめましょう。
電子化する場合は電子帳簿保存法の要件(真実性・可視性など)に沿った運用設計が不可欠です。
スキャナ保存では、入力後の検索性確保や改ざん防止などのルールが示されています。
運用の肝は「紙の置きっぱなしを作らない動線」と「電子データは所定フォルダへ即時格納」です。
物理とデジタルを同じ動線上に並べると、迷わず処理でき、二重管理が減ります。 国税庁+1

失敗例とチェックリスト|耐荷重・防火・施錠と閲覧権限

失敗例として、書庫が執務通路に“はみ出す”、移動棚の床補強を“見落とす”、マイナンバーを含む書類を“共用キャビネットに混在”——これらは代表的なNGです。
キャビネットは施錠区分を分け、特定個人情報はアクセス制御と廃棄ルールまで含めて運用を整えましょう。
また、地震時の転倒防誌止(東京都防災ポータルより)↵やフリーアクセス床への固定方法は事前に確認が必要です。
電子側は画面覗き見対策・離席ロック・媒体の施錠保管・バックアップまで含めると現場が安定します。

執務席と管理者配置|集中と連携を両立する島構成

税理士事務所のレイアウトでは、島型の“まとまり”を活かしつつ、集中作業と電話対応の特性を分離することがポイントです。
島型はチーム内の声掛けがしやすく、スペース効率に優れます。
一方で、電話や対面応対が多い席が混在すると、静かな方が良い作業にノイズがかかります。
管理者席は“見守れるけど、監視感を与えない”位置関係が理想で、中央後方や島の端から全体を見渡せる配置が望ましいです。
通路は法律上の最低確保に加えて、主要動線を900mm〜1600mm程度に設計すると安全性と歩行の快適さを両立できます。

定石7|電話対応席と申告作業席を分離した島構成にする

電話や来客対応が多い担当は、島の“端”または窓側に寄せ、申告や決算などの集中作業席は島の“内側”に寄せると良いでしょう。
音源が分散し、受話器の発声や立ち座りの振る舞いが集中席に伝播しにくくなります。
島の並び自体は固定席運用との相性がよく、チーム単位の情報共有も維持できます。
島間の主動線は1200〜1600mmを目安に取り、島内の横通路は900mm前後を確保すると、人と人のすれ違いでストレスが出にくく、落ち着いた作業環境がつくれます。
座席配列によるストレス要因は生産性に直結するため、“騒がしい業務”と“静かな業務”のゾーニングを強く意識しましょう。

定石8|管理者席は“視線と声掛け半径”で中央の後方に置く

管理者がチーム全体の顔と手元を“斜め視野”で捉えられる位置に座ると、過度な圧迫感を生まないです。
具体的には、島列の後方中央や、列端に管理者席を置き、立位で半歩前に出れば全島へ声掛けできる“半径”を確保します。
責任者の近すぎる配置は監視感、遠すぎる配置は把握不足を招きやすいため、距離感の設計が重要です。
国内の事例でも、島の端から全体を見渡す、あるいは管理者席を集約して横の連携を強める配置が紹介されており、レイアウト方針に応じて使い分けると効果的です。

失敗例とチェックリスト|眩光・通路幅・配線トラフ

窓際のまぶしさでモニタに眩光が入ると、姿勢が前のめりになり疲労を招きます。
机上面は500〜750lxを目安に、窓側はブラインドや間接光でコントラストを整えましょう。
通路は島間の主動線で1200〜1600mm、島内横通路で900mm程度を確保し、カバンや台車の干渉を避けます。
配線は島下にトラフや床内ルートを設け、足元露出を最小化すると見た目と安全性が向上します。
VDT作業(ディスプレイ機器での作業)の観点では、画面上端が目線より下、視距離40cm以上を意識すると無理のない姿勢が保ちやすく、長時間作業でも安定します。

※下の写真は管理者席からの視点です

将来拡張とセキュリティ|可変レイアウトとゾーン入退室

税理士事務所のレイアウトは「今はちょうど良い」ではなく「将来の席数・会議室数・機密度に応じて変えられる」ことも大切です。
面談需要の波や採用増に合わせて、会議室や執務島を分割・統合できる可変性を仕込むのもオススメです。
同時に、来客ゾーン面談ゾーンバックヤード(機密ゾーン)を段階的に切り分け、入退室の権限とログを運用に組み込むのも良いです。
マイナンバー等の特定個人情報を扱う区域は、物理的な安全管理措置(区域の明確化・閲覧防止)を必要とします。
ルールと設備の両輪で、拡張性×守秘性を両立させましょう。

定石9|可動パーテーションで“1室→2室”の拡張に備える

会議室は最初から可動間仕切り(スライディングウォール等)を想定しておくと、繁忙期に2室へ分割でき、閑散期は大部屋として使えます。
天井・床のレール計画と建具の納まりを初期設計に含め、吸音仕上げや扉の気密で会話の漏れを抑えれば、可変でも実用的な音環境を確保できます。
製品選定は“可動のしやすさ”と“遮音性能”のバランスが重要です。
オフィス向けの可動間仕切りは複数のメーカーから販売されており、レイアウト変更への追随性が高いのが特長です。
将来の席数増・会議種別の変化に対して、工期と費用を抑えつつ柔軟に追従できます。

定石10|ゾーン別入退室と視線遮蔽でマイナンバー等を保護

機密度に応じて受付(来客)→面談→バックヤードの順に通過させる“段階的ゾーニング”が有効です。
バックヤードは入退室を権限者に限定し、サーバールームや紙・媒体の保管場所はログを記録・点検できる仕組みを導入するのがオススメです。
画面は来客から見えない向きに配置し、必要に応じて覗き見防止フィルターを併用しましょう。
マイナンバーを含む特定個人情報は、区域管理・閲覧防止・教育などの物理的安全管理措置が求められています。
中小企業向けのガイドラインでも、入退室の厳格化やログの定期確認、クリアスクリーンの徹底が推奨されています。

失敗例とチェックリスト|鍵管理・媒体保管・のぞき見

鍵(物理鍵・カード)の貸し借り・共用を放置し、誰がいつ入ったか追えない
来客導線上に未施錠キャビネットがあり、紙とUSB等の媒体が混在している。
画面が通路側を向き、のぞき見防止や離席ロックが徹底されない——この三つは典型的なつまずき要因です。
対応策は、権限別の鍵/カード運用、媒体は施錠管理・廃棄ルールの明文化、レイアウトで画面を背面化+必要箇所にフィルター、そして入退室ログの定期点検です。
“設備だけ”でも“ルールだけ”でも不十分なので、配置×機器×運用を一体で設計しましょう。

まとめ

税理士事務所のレイアウトの要は、来客導線×守秘×書庫をワンセットで最適化することです。
受付から会議室への導線は社員導線と交差させず、視線の抜けをコントロールして“見せる安心”をつくりましょう。

面談室は騒音源から離し、扉・ガラス・取り合いの気密まで丁寧に仕上げると会話の秘匿性が安定します。
空調騒音や残響の調整も同時に考えると、少ない工事で体感品質を上げられます。

書庫と電子化は「面談→処理→保管」を一直線に。
保存年限と将来紙量を見込んだ容量設計、施錠区分と媒体管理まで整えると、紛失や手戻りのリスクを抑えられます。

執務席は“静かな業務”と“声の出る業務”を分離し、管理者席は「監視」ではなく「見守れる」距離に。
通路幅・眩光・配線の基本を押さえるだけで、集中と連携の両立が進みます。

将来拡張は可動間仕切り+段階的ゾーニングで対応。
入退室と視線遮蔽を組み合わせ、マイナンバー等の特定個人情報を扱う区域はルールと設備を一体で設計しましょう。

当社では、3DCADで動線・遮音・収納量を見える化しながら、クライアントのイメージを宿した内装デザインをしています。
限りある予算の中でも、妥協しない品質の提案内容であれば、社内合意と意思決定が速くなります。
税理士事務所の内装設計はリクテカデザイン↵へご相談ください。

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